2016年11月18日、抗ヒスタミン薬のビラノア®(一般名:ビラスチン)とデザレックス®(一般名:デスロラタジン)が同日発売されました。デザレックス®は、クラリチン®(一般名:ロラタジン)の主要活性代謝物です。
第一世代抗ヒスタミン薬は、効果発現が速い反面、眠気の副作用も強力でした。1980年代になると、①親水基を導入して中枢移行性を抑え、②受容体選択性を高めた、③長時間作用する第二世代抗ヒスタミン薬が開発されました。肥満細胞の脱顆粒抑制作用など、抗アレルギー作用を有しているため、「抗アレルギー薬」と称され高薬価が付きました。ザジテン®、ゼスラン®、アゼプチン®、セルテクト®、ダレン®などです。
ところで、眠気の強い薬は効果も強いという誤解がありますが、鎮静作用と抗ヒスタミン作用は相関しません。第二世代の中にも鎮静作用が強いものがあり、副作用の軽減は十分とは言えませんでした。
1990年代になると、アレジオン®、エバステル®、ジルテック®、タリオン®、アレロック®、クラリチン®、アレグラ®、ザイザル®など、眠気が少ない薬が開発され、非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれました。
なお、初期の第二世代には喘息の適応がありますが、後期第二世代にはこの適応はありません。
ビラノア®とデザレックス®ですが、どちらも眠くなりにくく、自動車運転などの制限はありません。自動車運転の記述がないのは、このほかにアレグラ®、クラリチン®、配合剤のディレグラ®があります。
デザレックス®は、食事やグレープフルーツジュースなどによる影響を受けにくい薬です。これに対し、ビラノア®はジルテック®や光学異性体のザイザル®と同程度の強さがありますが、食事やグレープフルーツジュースで吸収が半減します。そのため、空腹時(食事の1時間以上前、または2時間以上後)に服用する必要があります。
今後、ルパタジン®(一般名:ルパタジンフマル酸塩)の発売が予定されています。
商品名 | ビラノア®錠20mg | デザレックス®錠5㎎ |
一般名 | ビラスチン | デスロラタジン |
販売会社 | 大鵬薬品工業(株)/Meiji Seika ファルマ(株) | 杏林製薬(株)/MSD(株)/科研製薬(株) |
用法・用量 | 1日1回20㎎ 空腹時 | 1日1回5㎎ |
小児投与 | 使用経験なし | 12歳以上の小児 |
食事の影響 | 食後で低下(60~40%) | なし |
併用注意 | エリスロマイシン、ジルチアゼム (P糖蛋白の阻害で血中濃度上昇) |
エリスロマイシン |
薬価 | 79.70円 | 69.40円 |
使用に際しては、必ず添付文書をお読み下さい。