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第6回 オピオイド誘発性便秘症治療薬(スインプロイク®錠)

 2018/03/01   新薬

オピオイド誘発性便秘症治療薬2017年6月、国内初のオピオイド誘発性便秘症(OIC:Opioid-Induced Constipation)治療薬、スインプロイク®錠(一般名:ナルデメジントシル酸塩)が発売されました。

モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどのオピオイド鎮痛薬は、がん性疼痛治療において中心的な役割を果たしています。オピオイド鎮痛薬は、中枢のμオピオイド受容体を介して強い鎮痛作用を示す一方で、消化管にある末梢のμオピオイド受容体に作用し、消化管運動を抑制しOICを引き起こします。
オピオイドの副作用である「悪心・嘔吐」、「眠気」、「便秘」のうち、悪心・嘔吐と眠気は比較的短期間で耐性が形成されますが、便秘は薬用量よりも低い用量で発現し、かつ耐性が生じにくいという特性があります。継続的な下剤の服用が必要になりますが、浸透圧性下剤(酸化マグネシウム等)や大腸刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム、センノシド)には、高マグネシウム血症などの電解質異常や長期連用による耐性や習慣性などの問題があります。

スインプロイク®錠は、血液脳関門(BBB:Blood Brain Barrier)の透過性を低下させる目的で、モルヒナン骨格に側鎖を付加された化学構造をしています。このため中枢での鎮痛作用を減弱させることなく、消化管のオピオイド受容体に拮抗して便秘症状を緩和させます。
OICに適応を持つ新しい作用機序の便秘治療薬として、有用性加算Ⅱを取得しました。OIC以外の便秘に対する効果は検証されていません。オピオイドによる治療中は服用を継続しますが、オピオイドを中止した場合は服用を止めます。また、脳腫瘍などでBBBが機能していない場合は、中枢に移行しオピオイドの鎮痛効果を減弱させるおそれがあります。

商品名 スインプロイク®錠0.2mg
一般名 ナルデメジントシル酸塩
会社 塩野義製薬(株)
用法・用量 1日1回1錠(0.2mg)を経口投与する
適応 オピオイド誘発性便秘症
併用注意 CYP3A 阻害薬↑(イトラコナゾール等)、CYP3A 誘導薬↓(リファンピシン等)、P-糖蛋白阻害薬↑(シクロスポリン等)
投与禁忌 消化管穿孔の危険性が高まるおそれがあるため、消化管閉塞のある患者(その疑い、又は消化管閉塞の既往歴を有し、再発のおそれの高い患者を含む)
副作用 下痢、腹痛
薬価 272.10円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。