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第8回 DPP-4阻害薬/ビグアナイド系薬配合糖尿病治療薬(イニシンク®錠) 

    新薬

DPP-4阻害薬/ビグアナイド系薬配合糖尿病治療薬2016年9月、選択的DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)-4阻害薬のネシーナ®錠(一般名:アログリプチン安息香酸塩)とビグアナイド(BG)系薬のメトホルミンを配合したイニシンク®配合錠が発売されました。DPP-4阻害薬とBG系薬の配合薬には、エクア®錠(一般名:ビルダグリプチン)とメトホルミンを配合したエクメット®配合錠があります。エクメット®配合錠は1日2回ですが、イニシンク®配合錠は1日1回の服用になります。

イニシンク®配合錠は、インスリン分泌促進系のDPP-4阻害薬とインスリン抵抗性改善系のBG系薬の組み合わせです。DPP-4阻害薬は、糖濃度依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制します。

一方、BG系薬は、肝臓からのグルコース放出を抑制するとともに、筋肉を中心とした末梢組織でのグルコースの利用の促進、脂肪組織へのグルコースの取込みなどによりインスリン抵抗性を改善します。

両剤は相加的に血中GLP(グルカゴン様ペプチド)-1 濃度を上げる作用があると考えられており、併用療法は各薬剤の単独療法を上回る血糖降下作用が期待されます。また、DPP-4阻害薬の GLP-1を介したインスリン分泌促進作用は血糖依存性であることと、BG系薬の血糖改善作用はインスリン分泌促進を介さないことから低血糖の発現リスクも低いと考えられます。また、併用療法により服用回数及び薬剤の錠数を減少させ、アドヒアランスを向上させることが期待されています。

承認時までに2型糖尿病患者に本配合薬を投与した臨床試験は実施されていませんが、ネシーナ®錠、メトホルミンにおいて、重大な副作用として、乳酸アシドーシス、低血糖、急性膵炎、肝機能障害、黄疸、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、横紋筋融解症、腸閉塞、間質性肺炎、類天疱瘡が報告されています。なお、海外では2013年から販売されています。

商品名 イニシンク®配合薬
一般名 アログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩配合錠
会社 武田薬品工業(株)
用法・用量 1日1回1錠を食直前又は食後に経口投与する。
適応 2型糖尿病。
ただし、アログリプチン安息香酸塩及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される
場合に限る。
警告 乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。
注意(抜粋) 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
ヨード造影剤を用いた検査前に本剤を一時的に中止すること。
オルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は変色することがあるので避けること。
薬価 166.40円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。