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第15回 悪性抗腫瘍薬(リムパーザ®錠)

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悪性抗腫瘍薬2018年4月、悪性抗腫瘍薬のリムパーザ®錠(一般名:オラパリブ)が再発卵巣がんの適応で発売され、同年7月、遺伝性再発乳がんに適応拡大されました。

進行・再発卵巣がんやホルモン抵抗性になった乳がん、HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)蛋白陰性かつホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)感受性なしのトリプルネガティブ乳がんは予後不良で、細胞毒性の強い殺細胞性化学療法しか選択肢がありませんでした。

DNA(デオキシリボ核酸)は、紫外線や放射線など、様々な要因により損傷を受けますが、主に一本鎖のDNA切断を修復するPARP(ポリ[ADP]-リボースポリメラーゼ)により修復されます。二本鎖切断の場合には、BRCA(breast cancer susceptibility gene:乳がん感受性遺伝子)やATMRAD51など、複数の相同組換え機構により修復されます。

一本鎖修復を妨げるPARP(パープ)阻害薬を投与すると、正常細胞では二本鎖を修復するBRCAにより修復されますが、乳がんの7~10%を占める遺伝性乳がんでは、二本鎖修復障害というBRCA1/2遺伝子変異のため、うまく修復されずに細胞死が誘導されます。進行・再発がんに対して、PARP阻害薬という新たな選択肢が誕生しました。

乳がんは、BRCAとHER2のコンパニオン診断が必要ですが、卵巣がんは海外の臨床試験においてBRCA変異の有無にかかわらず有効であっため不要となりました。乳がんでは化学療法を対照とした臨床試験で、無増悪生存期間(PFS:progression-free survival)を有意に延長しました。今後、臨床研究が進めば、前立腺がんや肺がんなどにも適応が拡大される可能性があります。

商品名 リムパーザ®錠 100mg / 150mg
一般名 オラパリブ
会社 アストラゼネカ(株)
用法・用量 通常、成人にはオラパリブとして300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
適応 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法
がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん
併用注意 強いCYP3A阻害薬(イトラコナゾールなど↑)、中程度のCYP3A阻害薬(シプロプロキサシンなど↑)、グレープフルーツ含有食品↑、CYP3A誘導薬(リファンピシンなど↓)、セイヨウオトギリソウ含有食品↓
副作用 吐き気、貧血、疲労、嘔吐、無力症、味覚異常など
薬価 100mg:3,996.00円 150mg:5,932.50円

※↑:血中濃度が上昇 ↓:血中濃度が低下

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。