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第16回 ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤(ファセンラ®皮下注)

 2019/01/07   新薬

難治性気管支喘息2018年4月、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤のファセンラ®皮下注[一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え)]が発売されました。適応は、難治性気管支喘息です。

日本には約800万人の喘息患者がおり、そのうち5~10%が高用量の吸入ステロイドに、その他の長期管理薬を併用してもコントロールできない重症喘息と推定されます。重症喘息に対する抗体療法としては、抗IgE(免疫グロブリンE)抗体製剤のゾレア®皮下注[一般名:オマリズマブ(遺伝子組換え)]、抗IL-5(インターロイキン-5)抗体製剤のヌーカラ®皮下注[一般名:メポリズマブ(遺伝子組換え)]に次いで3番目になります。

喘息の病態における気道炎症や気道過敏性には、肥満細胞や好酸球が関与しています。好酸球は、ヘルパーT細胞が産生するIL-5が好酸球表面に発現する受容体と結合することで活性化されます。重症喘息の約50%で好酸球レベルが高い傾向にあります。

ファセンラ®は、IL-5が受容体に結合するのを阻害して、好酸球の活性化を抑制します。また、糖鎖からフコースを除去する技術によりナチュラル・キラー(NK:natural killer)細胞が認識しやすくしています。このためNK細胞は、好酸球と結合したファセンラ®を標的として攻撃を行い、アポトーシスを誘導します。重症喘息において抗体依存性細胞傷害(ADCC:antibody-dependent cellular cytotoxicity)活性を利用して、好酸球を直接的に除去します。好酸球増多による気道炎症を軽減し、喘息症状の改善、喘息増悪の抑制ができると期待されています。主な副作用としては、頭痛、咽頭炎、発熱、注射部位反応などがあります。

商品名 ファセンラ®皮下注30mgシリンジ
一般名 ベンラリズマブ(遺伝子組換え)
会社 アストラゼネカ(株)
用法・用量 通常、成人にはベンラリズマブ(遺伝子組換え)として1回30mgを、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する。
適応 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
副作用 頭痛、咽頭痛、発熱、注射部位反応(注射部位が硬くなる、痛む、赤く腫れる、かゆくなる)など、重篤な副作用としてアナフィラキシーショックなど
投与部位 医療機関で、上腕部、大腿部または腹部のいずれかに皮下注射する。
薬価 30mgシリンジ:351,535円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。