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第17回 抗インフルエンザウイルス薬(ゾフルーザ®錠)

 2019/02/01   新薬

インフルエンザウイルス感染症2018年3月、新しい作用機序の抗インフルエンザ薬、ゾフルーザ錠(一般名:バロキサビル マルボキシル)が先駆け審査指定を経て発売されました。

抗インフルエンザ薬には、経口薬のタミフル(一般名:オセルタミビルリン酸塩)、吸入薬のリレンザ(一般名:ザナミビル水和物)とイナビル(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)、注射薬のラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物)があります。そのほかに、A型インフルエンザのみに適応のあるシンメトレル(アマンタジン)と既存薬が無効の場合の新型又は再興型インフルエンザ対策用のアビガン(ファビピラビル)があります。

自己増殖ができないウイルスは、宿主細胞に①吸着②侵入③膜融合④M2タンパクにより脱殻⑤タンパク合成の起点となるキャップ構造を切り取り(キャップ拉致反応)、宿主の複製機能を使ってウイルス遺伝子を転写・複製⑥出芽⑦放出:ノイラミニダーゼにより細胞外へ遊離という過程で増殖します。

ゾフルーザ錠は、ウイルスのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を選択的に阻害し、メッセンジャーRNA合成を阻害することでウイルス増殖を抑制します。エンドヌクレアーゼは、メッセンジャーRNAの中間部を切断するウイルス特有の酵素なので、人体には影響が少ない薬です。1回の経口投与で治療が完結するので、利便性が高いと期待されています。主に便中に排泄されるので、腎機能低下患者でも投与量を調整せずに使用できます。主な副作用は、下痢、頭痛、ALT(GPT)増加などで、重大な副作用として、抗インフルエンザ薬に共通の異常行動があります。異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性、発熱から2日間以内に発現することが多いことが知られています。

商品名 ゾフルーザ錠10mg、20mg、顆粒2%分包(10mg/0.5g)
一般名 バロキサビル マルボキシル
会社 塩野義製薬(株)
用法・用量
  1. 通常、成人及び12歳以上の小児には、20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)を単回経口投与する。ただし、体重80kg以上の患者には20mg錠4錠又は顆粒8包(バロキサビル マルボキシルとして80mg)を単回経口投与する。
  2. 通常、12歳未満の小児には、体重40kg以上の場合1回40mg、体重20kg以上40kg未満の場合1回20mg、体重10kg以上20kg未満の場合1回1錠(10mg)を単回経口投与する。
適応 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症
副作用 下痢、頭痛、ALT(GPT)増加など、重大な副作用として抗インフルエンザ薬に共通の異常行動(急に走り出す、徘徊する等)
薬価 10mg錠:1,507.50円、20mg錠:2,394.50円、顆粒2%分包:未収載

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。