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第20回 抗精神病薬(シクレスト舌下錠)

 2019/05/07   新薬

統合失調症2016年5月、抗精神病薬のシクレスト舌下錠(一般名:アセナピンマレイン酸塩)が発売されました。

定型抗精神病薬は、ドパミンD2受容体を強力に遮断して、統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)を改善する反面、錐体外路症状や高プロラクチン血症などの副作用があります。

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)、多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)、ドパミン部分作動薬(DPA)などの非定型抗精神病薬は、陽性症状に加えて、セロトニン5-HT2A受容体遮断作用により陰性症状(感情の平板化・意欲欠如など)にも効果があります。

シクレストは四環系抗うつ薬のテトラミド(一般名:ミアンセリン塩酸塩)に類似の構造を持ち、セロクエル(一般名:クエチアピンフマル酸塩)やジプレキサ(一般名:オランザピン)と同じ非定型抗精神病薬のMARTAに分類され、統合失調症の陽性症状、陰性症状、不安、うつ症状に効果を示します。同系統の薬は、代謝系への影響から副作用として体重増加や高血糖があり、糖尿病患者には禁忌となります。

シクレストは、体重増加、血中脂質及び血糖などの代謝性パラメータに対する影響が少ないため、糖尿病に対して禁忌ではありません。また、ムスカリン受容体への親和性は示さないので、口渇、便秘、排尿障害などの副作用が少ないのも特徴です。

薬物動態は、Tmaxが約1時間と立ち上がりが早く、開始用量と維持用量が同一なので、治療早期から有効用量の投与が可能です。バイオアベイラビリティは舌下投与で35%、そのまま内服した場合は2%未満しか利用されません。このため舌下投与後10分間は飲食を避けるという注意があります。海外では、統合失調症のほかに、双極I型障害の適応が承認されています。

商品名 シクレスト舌下錠
一般名 アセナピンマレイン酸塩
会社 Meiji Seikaファルマ(株)
用法・用量 通常、成人にはアセナピンとして1回5mgを1日2回舌下投与から投与を開始する。
なお、維持用量は1回5mgを1日2回、最高用量は1回10mgを1日2回までとするが、年齢、症状に応じ適宜増減すること。
適応 統合失調症
重要な基本的注意 自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること
等価換算値 クロルプロマジン100mgとアセナピン2.5mgが等価
副作用 傾眠、口の感覚鈍麻、アカシジア、錐体外路障害、体重増加、浮動性めまい
薬価 5mg舌下錠:264.30円 10mg舌下錠:396.80円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。