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第22回 免疫チェックポイント阻害薬(ヤーボイ点滴静注液)

 2019/07/01   新薬

免疫チェックポイント阻害薬2015年8月、免疫チェックポイント阻害薬のヤーボイ点滴静注液〔一般名:イピリムマブ(遺伝子組換え)〕が発売されました。

細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)を標的としたモノクローナル抗体による抗がん薬です。米テキサス大学(現テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター)のジェイムズ・P・アリソン教授は、1995年にCTLA-4を発見し、ヒト型抗CTLA-4抗体を開発しました。この功績により、抗PD-1抗体を発見した本庶佑教授とともに、2018年にノーベル賞を受賞しました。

樹状細胞は、がん細胞を貪食するとがん抗原ペプチドに分解し、MHC(主要組織適合抗原)上に抗原提示をします。免疫の司令塔であるT細胞は、TCR(T細胞受容体)を介して、がん抗原を認識します。
その上で、T細胞と樹状細胞が結合すると、2つのシグナルによりT細胞は活性化されてキラーT細胞となり、がん細胞を攻撃します。同時に、正常細胞は攻撃しないように抑制性の免疫チェックポイントであるCTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte antigen-4)が発現し、樹状細胞に結合することで過剰な免疫応答は抑制されます。がん細胞は、これを巧みに利用して免疫機構を回避します。

ヤーボイは、CTLA-4に結合し、ネガティブフードバックを阻害することで、免疫機構のブレーキを解除します。また、免疫反応を調節する制御性T細胞(Treg:ティレグ)の機能低下と腫瘍組織におけるTreg数の減少を誘導します。これらの働きにより、抗がん効果は増強されます。

免疫チェックポイント阻害薬は、有効性が高い反面、免疫反応の促進または過剰による下垂体炎や腸炎、皮疹などの特有な有害事象を引き起こすことがあります。計4回の投与終了後から数ヵ月経って副作用が発現した例もあるので、投与終了後も観察を十分に行う必要があります。

商品名 ヤーボイ点滴静注
一般名 イピリムマブ(遺伝子組換え)
会社 ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株)/小野薬品工業(株)
適応 根治切除不能な悪性黒色腫
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
用法・用量 【根治切除不能な悪性黒色腫】
通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。なお、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、ニボルマブ(遺伝子組換え)と併用すること。
【根治切除不能又は転移性の腎細胞癌】
ニボルマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。
特に注意を要する副作用 大腸炎、消化管穿孔、下痢、肝障害、皮膚障害、下垂体炎、下垂体機能低下、甲状腺機能低下症、副腎機能不全、末梢神経障害、腎障害、間質性肺疾患、筋炎、インフュージョン リアクションなど
薬価 点滴静注液50mg:485,342円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。