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第30回 PCSK9阻害薬(レパーサ&プラルエント

    新薬

PCSK9阻害薬2016年4月、レパーサ皮下注〔一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え)〕、2016年9月、プラルエント皮下注〔一般名:アリロクマブ(遺伝子組換え)〕が発売されました。脂質異常症治療薬として、初めての抗体製剤です。

脂質異常症の診断基準には、①LDLコレステロール(LDL-C)140mg/dL以上、②HDLコレステロール40mg/dL未満、③トリグリセライド(TG)150mg/dL以上、④Non-HDLコレステロール170mg/dL以上などがあります。診断基準は高いだけでなく低い場合もあるので、2007年に高脂血症から脂質異常症に名称が変更されました。血中脂質の高い状態が続くと動脈硬化が進展し、冠動脈疾患や脳梗塞などの発症リスクが高まります。高LDL-C血症には、遺伝性疾患の家族性高コレステロール血症(FH)も含まれます。

近年、FHの研究からLDL受容体分解促進タンパク質であるPCSK9(プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)遺伝子が同定されました。LDL-Cは、LDL受容体に結合して肝臓に取り込まれた後、細胞内でLDL-Cのみが分解され、LDL受容体は肝臓表面にリサイクリングされます。一方、LDL受容体にPCSK9が結合すると、LDL受容体はリサイクルされずに分解されます。FHでは、LDL受容体が過剰に分解されるため、LDL-Cが高値になります。PCSK9阻害薬は、PCSK9に特異的に結合して、PCSK9とLDL受容体が結合するのを妨げます。LDL受容体が分解されないので、LDL-Cは顕著に下がります。

高LDL-C血症の治療は、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が第一選択薬です。コレステロールの生合成を抑制する一方、コレステロールの低下を補うためにLDL受容体が増加します。ところがスタチンを増量しても下がらない治療抵抗性が存在します。スタチン投与により、LDL-C濃度を調節しているPCSK9が働き、PCSK9の合成が促進されるためと考えられます。そのためPCSK9阻害薬は、原則、スタチンと併用して用います。厳格な脂質管理が必要なFHや筋障害等で十分量のスタチンを使用できない場合に期待されています。

商品名 レパーサ皮下注/シリンジ/ペン/オートミニドーザー プラルエント皮下注/ペン
一般名 エボロクマブ(遺伝子組換え) アリロクマブ(遺伝子組換え)
会社 アステラス・アムジェン・バイオファーマ(株) サノフィ(株)
適応 家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高い、スタチンで効果不十分か治療が適さない場合
用法・用量 【FHヘテロ接合体、高コレステロール血症】
140mgを2週間に1回又は420mgを4週間に1回皮下投与。
【FHホモ接合体】
420mgを4週間に1回皮下投与。効果不十分な場合は420mgを2週間に1回(以下、略)
【スタチン併用の場合】
75mgを2週に1回皮下注。効果不十分な場合は150mgに増量
【スタチン併用が不適の場合】
150mgを4週に1回皮下注。効果不十分な場合は150mgを2週に1回
副作用 主な副作用は、糖尿病、注射部位反応、筋肉痛など 主な副作用は、注射部位反応(紅斑、発赤、腫脹、疼痛、圧痛、かゆみ)
薬価 140mgペン・シリンジ24,372円、24,565円
420mgオートミニドーザー1筒47,326円
150mg1筒45,305円
75mg1筒23,373円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。