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第31回 MTP阻害薬(ジャクスタピッドカプセル)

 2020/04/01   新薬

MTP阻害薬2016年12月、MTP阻害薬のジャクスタピッドカプセル(一般名:ロミタピドメシル酸塩)が発売されました。

適応は、脂質異常症のなかでも、まれな遺伝子疾患である「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」だけになります。家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)は、LDL受容体の遺伝子変異に起因し、幼少期からLDL-コレステロール(LDL-C)が異常に高く、腱黄色腫や早発性冠動脈硬化症を発症します。片方の親に変異のあるFHヘテロ接合体が200人に1人、両方の親に変異のあるFHホモ接合体が100万人に1人の頻度で認められます。

FHホモ接合体は、FHヘテロ接合体より症状が重く、指定難病になります。HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)やPCSK9阻害薬はFHヘテロ接合体には有効ですが、LDL代謝経路が障害したFHホモ接合体では効果がなく、機械的にLDL-Cを取り除くアフェレーシスが行われます。

小腸から吸収された食事由来の中性脂肪(TG)は、カイロミクロンを形成し全身に運ばれます(外因性経路)。肝臓で合成されたコレステロールやTGは、VLDL(超低比重リポ蛋白)、IDL(中間比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)と代謝され、末梢にコレステロールを運びます。最終的に、LDL-Cは肝臓で分解されます(内因性経路)。HDL(高比重リポ蛋白)は、末梢から余分なコレステロールを回収します(逆転送系)。水に不溶な脂質は、親水性のアポ蛋白やTGと複合体(リポ蛋白)を形成して、血中に溶け込みます。

このカイロミクロンやVLDLの形成に必要なのが、肝臓や小腸にあるMTP(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質)で、脂質転送に関与しています。ジャクスタピッドカプセルはMTPを阻害することで、肝臓のVLDLが形成不全になり、LDL-Cが低下します。

副作用として、胃腸障害や脂肪肝、肝機能異常があります。LDL受容体を介さないので、FHホモ接合体への治療効果が期待されています。

商品名 ジャクスタピッドカプセル
一般名 ロミタピドメシル酸塩
会社 レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン(株)
適応 ホモ接合体家族性高コレステロール血症
用法・用量 1日1回夕食後2時間以上あけて服用。5mgから開始し、2週間以上あけて10mg、さらに4週間以上あけて20mg、40mgに増量できる
警告 肝機能障害が発現するため、投与前、増量前もしくは月1回(1年間)、3ヵ月に1回かつ増量前(2年目以降)は必ず肝機能検査を実施する
副作用 胃腸障害(下痢、悪心、嘔吐、腹部不快感、消化不良など)
併用禁忌 強いCYP3A阻害剤:クラリスロマイシン、イトラコナゾールなど
中程度CYP3A阻害剤:アプレピタント、ジルチアゼム、ベラパミルなど
薬価 5mg錠:81,160.40円 / 10mg錠:92,815.60円 / 20mg錠:105,660.90円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。