患者中心の保健医療を支える
処方情報分析のリーディングカンパニー

 03-5294-5990

第33回 パーキンソン病治療薬(エクフィナ錠)

 2020/06/01   新薬

パーキンソン病治療薬2019年11月、パーキンソン病治療薬のエクフィナ錠(一般名:サフィナミドメシル酸塩)が発売されました。エフピー錠(一般名:セレギリン塩酸塩)、アジレクト錠(一般名:ラサギリンメシル酸塩)に続く3番目の選択的MAO−B阻害薬で、非ドパミン作動性作用を併せ持つ新たなパーキンソン病治療薬です。

パーキンソン病(PD)は、黒質緻密層の神経細胞の変性脱落により線条体のドパミン量が低下し、静止時振戦、動作緩慢(無動)、筋固縮、姿勢保持障害などの運動障害を主症状とする緩徐進行性の神経変性疾患です。パーキンソン病治療薬には、①レボドパ(L-ドパ)含有製剤、②ドパミンアゴニスト、③選択的MAO-B阻害薬、④COMT阻害薬、⑤ドパミン代謝賦活薬、⑥アデノシンA2A受容体拮抗薬、⑦ドパミン遊離促進薬、⑧抗コリン薬、⑨ノルアドレナリン前駆物質などがあります。

MAO-B阻害薬は、ドパミンの分解酵素であるMAO-B(モノアミン酸化酵素-B)を阻害し、脳内ドパミン濃度を高めます。また、レボドパ含有製剤との併用で、L-ドパが効いている時間(オン時間)が短くなり、次の服用前に症状が悪化するウェアリングオフ現象を軽減します。PDの早期治療における単独療法や進行期のレボドパ含有製剤との併用療法に用いられます。アジレクトとエクフィナは、エフピーとは異なりアンフェタミン骨格を有さないので、覚醒剤原料の規制を受けません。直接比較したデータはありませんが、アンフェタミン骨格による不眠症、異常な夢、心臓障害及び神経障害などのリスクが少ないと思われます。

エクフィナは、既存MAO-B阻害薬と化学構造がまったく異なり、抗てんかん薬のラコサミドに似た構造を有します。可逆的なMAO-B阻害作用(既存薬は非可逆的)に加えて、PDの病態に深く関与するグルタミン酸の放出抑制作用(非ドパミン作動性作用)を持つので、運動症状だけでなく、精神症状や感覚症状などの非運動症状の改善が期待されます。MAO−B阻害薬の変更や中止後に三環系抗うつ薬などを開始する場合には、高血圧クリーゼやセロトニン症候群などの重篤なリスクを避けるため、少なくとも14日間の間隔を空ける必要があります。

商品名 エクフィナ錠50mg アジレクト錠0.5mg、1mg
一般名 サフィナミドメシル酸塩 ラサギリンメシル酸塩
会社 Meiji Seika ファルマ(株)
エーザイ(株)
武田薬品工業(株)
適応 レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリングオフ現象の改善 パーキンソン病
用法・用量 レボドパ含有製剤と併用する。1日1回50mgを経口投与する。1日最高100mg 1日1回1mgを経口投与する
併用禁忌薬 MAO阻害薬、ペチジン含有製剤、トラマドール、タペンタドール、三環系・四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、アトモキセチン、ミルタザピン、リスデキサンフェタミン、メチルフェニデート MAO阻害薬、ペチジン含有製剤、トラマドール、タペンタドール、三環系・四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、ボルチオキセチン、アトモキセチン、リスデキサンフェタミン、ミルタザピン
薬価 50mg錠953.20円 0.5mg錠519.70円
1mg錠963.60円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

-新薬
-, , ,

関連記事

第26回 B型肝炎治療薬(ベムリディ錠)

2017年2月、B型肝炎治療薬のベムリディⓇ錠(一般名:テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)が発売されました。 ゼフィックスⓇ(ラミブジン;LAM)、ヘプセラⓇ(アデホビル ピボキシル;ADV)、バ …

第21回 抗精神病薬(レキサルティ錠)

2018年4月、抗精神病薬のレキサルティⓇ錠(一般名:ブレクスピプラゾール)が発売されました。 第一世代の定型抗精神病薬は、ドパミンD2受容体遮断作用による錐体外路症状(EPS)の副作用が多いことが課 …

第3回 がん疼痛治療薬(ナルラピド®&ナルサス®) 

2017年6月19日、がん疼痛治療薬のヒドロモルフォン塩酸塩製剤、ナルラピド®錠(即放性)とナルサス®錠(徐放性)が発売されました。 ヒドロモルフォンは、1920年代にドイツで合成された選択的μオピオ …

第6回 オピオイド誘発性便秘症治療薬(スインプロイク®錠)

2017年6月、国内初のオピオイド誘発性便秘症(OIC:Opioid-Induced Constipation)治療薬、スインプロイク®錠(一般名:ナルデメジントシル酸塩)が発売されました。 モルヒネ …

第40回 新型コロナウイルス感染症治療薬(ベクルリー点滴静注)

2020年5月7日、抗ウイルス薬のベクルリーⓇ点滴静注用(一般名:レムデシビル)が特例承認されました。 米国では、同年5月1日に緊急使用許可(Emergency Use Authorization)、 …

連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。