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第34回 パーキンソン病治療薬(デュオドーパ配合経腸用液)

 2020/07/01   新薬

パーキンソン病治療薬2016年9月、パーキンソン病(PD)治療薬のデュオドーパ配合経腸用液(一般名:レボドパ/カルビドパ水和物)が発売されました。既存薬でコントロールできないウェアリングオフ現象に対するデバイス補助療法用製剤です。

ドパミンは、PD治療の標準薬であり、最も強力に運動症状を改善させる薬です。血液脳関門(BBB)を通過しないので、通過する前駆物質のレボドパを投与します。レボドパは小腸上部で吸収され、脳内のドパ脱炭酸酵素によりドパミンになります。レボドパは、末梢組織でドパ脱炭酸酵素により約70%が、COMTにより約10%が代謝され、脳内に到達するのはわずか数%に過ぎません。そのため大量投与が必要になり、悪心、嘔吐、食欲不振などの消化器系副作用を引き起こします。食前・空腹時投与や酸性飲料(レモン水)と併用のほうが吸収は良いとされます。

ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)のカルビドパ水和物やベンセラジド塩酸塩は、末梢でレボドパの代謝を抑制して脳内移行量を増やす一方、BBBは通過しないので脳内ドパミン量には影響しません。レボドパ投与量を約1/5に減量でき、その分、消化器症状が軽減されます。レボドパ含有製剤には、L-ドパ単剤のドパストンカプセル・静注(一般名:レボドパ)とレボドパ/DCI配合薬のネオドパストン配合錠(一般名:レボドパ/カルビドパ水和物)、マドパー配合錠(一般名:レボドパ/ベンセラジド塩酸塩)、レボドパ/カルビドパにCOMT阻害薬を配合したスタレボ配合錠(一般名:レボドパ/カルビドパ水和物/エンタカポン)などがあります。

デュオドーパは、ゲル状にしたレボドパ/カルビドパ水和物を、コンピュータ制御式の小型専用ポンプで、胃瘻から空腸に持続注入します。進行期PD患者では胃排出能が低下しやすいこともあり、経口薬に比べて安定したレボドパ濃度の維持を可能にします。オフ時間の短縮やジスキネジアの改善が期待されます。チューブを留置するため、内視鏡を用いた胃瘻造設術が必要になります。

商品名 デュオドーパ配合経腸用液
一般名 レボドパ/カルビドパ水和物
会社 アッヴィ合同会社
適応 レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で効果不十分なパーキンソン病のウェアリングオフ現象の改善
用法 経口レボドパ量に応じて初回投与量を決定し、朝の投与及び持続投与に分けて胃瘻を通じて空腸に直接投与。朝の投与:10~30分かけて投与後、持続投与(最大16時間)、最大投与量100mL
適用上の注意 冷蔵庫から取り出した後は16時間を超えて使用しない(室温ではカルビドパの分解が進みやすい)、残薬は廃棄
薬価 100mLカセット15,282.20円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。