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第35回 パーキンソン病治療薬(ハルロピテープ)

 2020/08/03   新薬

パーキンソン病治療薬2019年12月、パーキンソン病(PD)治療薬のハルロピテープ(一般名:ロピニロール塩酸塩)が発売されました。ニュープロパッチ(一般名:ロチゴチン)に続く2剤目の経皮吸収型ドパミンアゴニストです。

PD治療の基本薬は、レボドパとドパミンアゴニストです。早期PDでは治療反応性が高い(ハネムーン期)のですが、進行期PDになると、ドパミンを保持するドパミン神経の脱落が高度になり、徐々に有効治療域が狭くなります。その結果、低濃度ではウェアリングオフ現象が、高濃度では過量となりジスキネジア(不随意運動)が出現し、多剤併用下でも運動合併症のコントロールが難しくなります。半減期の短い(約1時間)レボドパがドパミン受容体をパルス状に刺激するのが原因と考えられています。

ドパミンアゴニストは、ドパミンD2受容体を選択的に刺激します。運動症状の改善はやや劣りますが、作用時間が長く、日内変動の予防には優れています。65歳未満ではドパミンアゴニストによる治療開始が推奨されています。ドパミンアゴニストには、麦角系のパーロデル錠(一般名:ブロモクリプチンメシル酸塩)、ペルマックス錠(一般名:ペルゴリドメシル酸塩)、カバサール錠(一般名:カベルゴリン)と、非麦角系のドミン錠(一般名:タリペキソール塩酸塩)、ビ・シフロール錠/ミラペックスLA錠(一般名:プラミペキソール塩酸塩水和物)、レキップ錠(一般名:ロピニロール塩酸塩)、アポカイン皮下注(一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物)、ニュープロパッチがあります。麦角系は心臓弁膜症や肺・胸膜線維症などの重篤な副作用があります。非麦角系は突発的睡眠や傾眠の副作用があるため、自動車の運転等には注意が必要です。また、高齢者では、ドパミン製剤に比べ、幻覚・妄想等の精神症状が発現しやすくなります。

ハルロピテープは、「貼るロピニロール」から命名されました。PD 患者は、嚥下障害や消化管障害が50%~90%が認められます。貼付剤は、経口剤より血中濃度が安定し、副作用も剥がせば回避できます。ニュープロは支持体にアルミニウムが含有されていますが、ハルロピは金属を含まないので、MRIやAEDを実施する前に剥がす必要はないと考えられます。

商品名 ハルロピテープ
一般名 ロピニロール塩酸塩
会社 久光製薬(株)/協和キリン(株)
適応 パーキンソン病
用法・用量 1日1回8mg/日から始め、1週間以上の間隔で1日量8mgずつ増量。1日最高64mg/日
副作用 貼付部の紅斑・かゆみ、傾眠、吐き気、便秘、ジスキネジア
薬価 8mg1枚400.20円、16mg1枚615.80円、24mg1枚792.20円、32mg1枚947.20円、40mg1枚1,088.20円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。