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第36回 不眠症治療薬(デエビゴ錠)

 2020/09/01   新薬

不眠症治療薬2020年7月、不眠症治療薬のデエビゴ錠(一般名:レンボレキサント)が発売されました。ベルソムラ錠(一般名:スボレキサント)に続く2剤目のオレキシン受容体拮抗薬です。

不眠症治療薬は、ベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬や非BZ受容体作動薬のようにGABA受容体を介して脳全体を鎮静させる薬とメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬のように自然に近い眠気を促す薬に分類されます。BZ系・非BZ系薬は、長い間、不眠症治療の中核を担ってきました。催眠・鎮静、抗不安、筋弛緩、抗けいれんなどの薬理作用があります。近年、記憶障害やふらつきによる転倒・骨折、長期連用時の常用量依存などが問題視され、向精神薬の多剤併用に対する減算処置など、規制が強化されています。

オレキシンは、現・筑波大学の柳沢正史、櫻井武らが米テキサス大学でナルコレプシー(居眠り病)の研究中に発見した神経ペプチドです。オレキシン受容体には2つのサブタイプ(OX1R、OX2R)があり、覚醒及び睡眠を調節しています。オレキシン受容体拮抗薬は、オレキシン受容体を阻害して、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させます。BZ系薬のような切れ味はないですが、依存性や耐性が少なく、せん妄や反跳性不眠が起こりにくい薬です。BZ系・非BZ系薬よりも安全性が高く、メラトニン受容体作動薬よりも効果発現が早い不眠症治療薬です。効果発現が早いため、就寝直前に服用します。なお、食事と同時または食直後の服用により、効果発現が遅くなる可能性があります。

副作用として悪夢や翌朝の眠気、頭痛、倦怠感などがあります。ほかの眠剤と同様に自動車の運転等は避けるよう注意が必要です。デエビゴは、CYPの影響を受けにくく、ベルソムラが併用禁忌のCYP3Aを強く阻害するイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾールが併用注意になりました。ただし、用量は1回2.5mgに減量します。デエビゴは、一包化調剤が可能です。

商品名 デエビゴ ベルソムラ
一般名 レンボレキサント スボレキサント
会社 エーザイ(株) MSD(株)
適応 不眠症 不眠症
用法・用量 成人には1日1回5mg、最大10mg、併用注意薬投与中は2.5mgを就寝直前に投与 成人には1日1回20mg、高齢者には1日1回15mg、併用注意薬投与中は10mgを就寝直前に投与
禁忌 重度の肝機能障害 CYP3Aを強く阻害する薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾールなど)
薬価 2.5mg:57.30円
5mg:90.80円
10mg:136.20円
10mg:69.30円
15mg:90.80円
20mg:109.90円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

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連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。