患者中心の保健医療を支える
処方情報分析のリーディングカンパニー

 03-5294-5990

第37回 メラトニン受容体作動性入眠改善薬(メラトベル錠)

 2020/10/01   新薬

メラトニン受容体作動性入眠改善薬2020年6月、メラトベル顆粒小児用(一般名:メラトニン)が発売されました。メラトニン受容体作動薬としては、ロゼレム錠(一般名:ラメルテオン)に続き2剤目ですが、小児の神経発達症に伴う睡眠障害改善薬としては初の薬剤です。

メラトニンは、生体内で作られる内因性ホルモンのひとつで、夜を知らせる睡眠ホルモンとして知られています。メラトニン受容体は2つのサブタイプがあり、MT1は催眠作用、MT2は概日リズムの調整に関与しています。メラトニンの分泌は、眼から入る光刺激で調節されており、日光などの刺激で分泌が抑制されて活動状態を維持、夜間になると分泌量が増加して眠気を促し、深夜に血中濃度がピークになります。神経発達症(自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症など)の小児では、何らかの睡眠問題を抱えていることが多いと報告されています。既存薬のロゼレムは、小児および発達障害に使用した経験がありません。このため睡眠衛生指導が中心で、国内で使用できる薬剤はありませんでした。

海外では、神経発達症に伴う睡眠障害にメラトニンの有効性が報告されており、サプリメントとして入手できる国もあります。しかし、国内では市販されておらず、2019年1月に小児神経学会よりメラトニン製剤の早期承認に関する要望書が提出されました。小児を対象として承認された薬なので、成人に処方することはできません。

メラトベルは、メラトニンを成分とした薬で主に肝臓のCYP1A2とCYP2C19で代謝されるため、その強力な阻害剤であるフルボキサミンマレイン酸塩が併用禁忌となっています。同薬は、小児の不安または強迫性障害に使用できる唯一の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)なので、注意が必要です。メラトベルの用量は、ロゼレム錠とは異なり適宜増減の記載があります。主な副作用は、傾眠、頭痛、肝機能検査値上昇などです。

商品名 メラトベル顆粒小児用 ロゼレム
一般名 メラトニン ラメルテオン
会社 ノーベルファーマ(株) 武田薬品工業(株)
適応 小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善 不眠症における入眠困難の改善
用法・用量 通常、小児には、1日1回1mgを就寝前に経口投与。症状により適宜増減、1日1回4mgまで 成人には、1回8mgを就寝前に経口投与
副作用 傾眠、頭痛、肝機能検査値上昇 傾眠、浮動性めまい
併用禁忌 フルボキサミンマレイン酸塩 フルボキサミンマレイン酸塩
薬価 0.2% 1g:207.80円 8mg:86.20円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

※掲載している内容は、現在の情報です

-新薬
-, , , ,

関連記事

第35回 パーキンソン病治療薬(ハルロピテープ)

2019年12月、パーキンソン病(PD)治療薬のハルロピⓇテープ(一般名:ロピニロール塩酸塩)が発売されました。ニュープロⓇパッチ(一般名:ロチゴチン)に続く2剤目の経皮吸収型ドパミンアゴニストです。 …

第19回 抗アレルギー薬(ルパフィン錠)

2017年11月、抗アレルギー薬のルパフィンⓇ錠(一般名:ルパタジンフマル酸塩)が発売されました。抗ヒスタミン作用と抗PAF(platelet activating factor:血小板活性化因子)作 …

第29回 慢性便秘症治療薬(モビコール&ラグノス

2018年11月、モビコールⓇ配合内用剤(一般名:マクロゴール4000ほか)、2019年2月、ラグノスⓇNF経口ゼリー(一般名:ラクツロース)が発売されました。欧米では、慢性便秘症の基準薬としてガイド …

第23回 免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダ点滴静注)

2017年2月、免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダⓇ点滴静注〔一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)〕が発売されました。 PD-1(プログラム細胞死タンパク質1)を標的としたモノクローナル抗体 …

第3回 がん疼痛治療薬(ナルラピド®&ナルサス®) 

2017年6月19日、がん疼痛治療薬のヒドロモルフォン塩酸塩製剤、ナルラピド®錠(即放性)とナルサス®錠(徐放性)が発売されました。 ヒドロモルフォンは、1920年代にドイツで合成された選択的μオピオ …

連載について

本連載記事(スピンアップ新薬)は、薬剤師の先生方をはじめとした医療従事者や薬学生の方に向け、新薬や医薬品に関する情報や浜田氏ならではの知見など、役に立つ情報を発信していきます。
また、南山堂発行の月刊誌「治療」「薬局」で過去に掲載した浜田氏の連載記事もあわせて公開していきます。

著者プロフィール

浜田康次氏

浜田 康次(はまだ こうじ)氏
日本コミュニティファーマシー協会理事 ほか

日本医科大学多摩永山病院、同千葉北総病院を経て、2017年より現職。著書に「抗菌薬サ−クル図デ−タブック」(じほう)、「ベストセラーで読み解く医療情報ナビ」(南山堂)、「インタビューフォームのAtoZ」(ユート・ブレーン)など多数。『治療』、『Rp.+』、『月刊Nursing』などに連載中。